野登寺 本堂、庫裏、鐘楼堂
亀山市指定文化財
 真言宗の特徴
そもそも密教って何?

 密教とは”秘密の仏教”といわれており、密教以外の仏教は顕教
(ケンギョウ)といわれています。その違いは、密教が永遠不滅の絶対者である大日如来(ダイニチニョライ)が説いた教えであるのに対して、顕教は衆生救済のために大日如来がお釈迦様となって現世に現れて説いた教えです。2つを比較すると、顕教の教えは表層にとどまるとされています。
 密教の秘密の教えには二つの意味があり、ひとつは、人間は仏陀
(ブッタ)(悟った人)になれるのにそれに気づかずにいるという<衆生秘密>、もうひとつは、お釈迦様の教えは法を説く相手の宗教的素養に応じて説いているためにわかりやすいけれど、大日如来の教えは仏さまの世界の言葉であるため、ふつうの人間でははかり知ることができないという<如来秘密>があります。


真言とは?

 真言とは真実の言葉----つまり仏さま自身の言葉ということです。人間の心の内にあり、外からではわからない言葉といってもよいです。もともとは梵語(古代インドのサンスクリット)のマントラのことです。陀羅尼(梵語のダーラーニー)も真言と同じ意味で「忘れないようにするもの」「記憶すべきもの」の意味です。一般に真言は比較的短いもの、陀羅尼はやや長いものをさしています。
 真言は弘法大師が「一字に千里を含む」といっているように、たった一文字であっても大日如来の教える無限の真理を含んでいます。


真言宗の本尊は?

 真言宗では根本本尊としておまつりしているのは大日如来です。
 大日如来は宇宙の真理を意味する法身仏
(ホッシンブツ)で、諸尊の一切は大日如来が教化(キョウケ)のために姿を変えたものであると考えられています。
 また、大日如来の法を受けて現実世界で悟りを説いたのがお釈迦様と考えられています。つまり、お釈迦様は大日如来が現世に現われた姿ということです。
 そして、真言宗のお寺では大日如来以外に、その教えを説いた祖師弘法大使を本尊としたり、阿弥陀・薬師などの如来、観音・文殊などの菩薩のほか、いろいろな仏様を本尊としています。
 これも大日如来がその時と場所に応じて姿を変えて現われると考えられていることが理由です。


曼荼羅って何?

 梵語の音写で「本質を有するもの」という意味です。簡単にいえば、我々人間と仏様との交流を軸にして、仏様の世界、宇宙の真理を描いたものが曼荼羅であり、図や絵だけでなく、さまざまなスタイルで描かれたものがあります。
 真言宗で尊ばれているのは、「大日経」に基づく胎蔵曼荼羅
(タイゾウマンダラ)と「金剛頂経」に基づく金剛界曼荼羅(コンゴウカイマンダラ)です。
 胎蔵曼荼羅は大日如来の真実、理をあらわしたもので、金剛界曼荼羅はその真実、理にいたるまでの知恵と実践をあらわしたものであり、この二つは切り離せないものなのです。


真言宗と天台宗の違いは?

 平安時代のはじめに、ともに唐へ渡った空海、最澄によって開かれた真言宗と天台宗は「東密」「台密」と呼ばれ、日本に密教の教えをもたらしました。
 両宗派の大きな違いは、真言宗で「顕教よりも密教がすぐれており、真言密教は宗派を超えた究極の境地である」と説いているのに対して、天台宗は「顕教一致=顕教と密教は根本的に同じである」という考え方が基本にあります。
 そのため、この両宗派を比べると真言宗のほうが、より密教的色彩が強くなっています。
















参考文献:「うちのお寺は真言宗」
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